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重量フローとは何か|ドライバーからウェッジまでの振り心地を揃える
重量フローは、クラブの長さと総重量の並びから、番手ごとの重さのつながりに不自然な段差や逆転がないかを見るものです。重量フローの見方と、よくある形、自分のバッグで確認する手順を整理しました。
目次
重量フローとは、クラブの長さと総重量の並びから、番手ごとの重さのつながりに不自然な段差や逆転がないかを見るものです。横軸に長さ、縦軸に総重量をとってチャートにすると、重さの流れから外れているクラブがひと目で分かります。
総重量って、シャフトの重さのことですか?
ヘッド+シャフト+グリップの合計。カタログにはシャフト重量が別に載っているので、ここが混ざりやすい。
なぜ重量の「流れ」を見るのか
クラブは、短くなるほど重くなるのが基本です。長さが短くなるぶん、重量を足さないと同じように振れません。
- ドライバー 45.5インチ / 300g前後
- 5番アイアン 38インチ / 400g前後
- サンドウェッジ 35インチ / 450g前後
ただし、重量がなめらかに増えていなくても、それだけでは崩れているとは言えません。ウッドとユーティリティはカーボン、アイアンはスチールというように、クラブの種類が変わるところではシャフトの重さが変わるので、重量に段差ができるのが普通です。
「0.5インチで7g」の線は、アイアンの目安
重量フローの目安としてよく使われるのが、0.5インチ短くなるごとに7g重くなる直線です。ドライバーの重量を起点に引く説明が多いものの、5番や7番アイアン、得意なクラブを起点にする考え方もあり、決まった引き方があるわけではありません。
もとはアイアンのヘッドを設計するときの考え方です。クラブを0.5インチ短くするとスイングウェイト(バランス)が約3ポイント下がり、アイアンの長さならヘッドを約2g重くすると1ポイント戻るので、元に戻すには 6〜7g 必要です。そのため、アイアンのヘッドは番手ごとに約7gずつ重く作られています。
ただ、メーカーの公式スペックを番手順に並べると、重量の増え方は区間ごとに違います。直線ではなく、途中で曲がる線になります。
| 区間 | 0.5インチ短くなるごとの重量増 |
|---|---|
| ドライバー → フェアウェイウッド | 1〜4g |
| フェアウェイウッド → ユーティリティ | 1〜1.5インチ短くなるだけで 20〜30g 増える |
| ユーティリティどうし | 4〜7g |
| アイアン | 5〜10g(5番〜PWの平均は 7g前後) |
| ウェッジ | 長さがほぼ変わらないため 0〜2g |
※ PRGR・本間・スリクソン・ゼクシオの純正スペック(総重量)から計算
7gがよく当てはまるのはアイアンの区間だけです。ウッドとユーティリティは、どのメーカーも増え方が7gより小さく、とくにウッドは 1〜4g にとどまります。
じゃあ、ドライバーから7gの線を引くとどうなるんですか?
スチールのアイアンはだいたい線に乗る。でもメーカー純正のフェアウェイウッドやユーティリティは、線より25〜35g下に来る。カーボンシャフトのアイアンも同じくらい下になる。
たとえばスリクソン ZXi(ドライバー 45.75インチ / 304g)で線を引くと、次のようになります。
| 番手 | 7gの線 | 公式スペック | 差 |
|---|---|---|---|
| 7番ウッド(42.25インチ) | 353g | 325g | −28g |
| 6番ユーティリティ(39インチ・カーボン) | 約399g | 365g | −34g |
| 5番アイアン(38.25インチ・スチール) | 409g | 406g | −3g |
線を「理想」として当てはめると、純正のウッドやユーティリティが全部「軽すぎる」ことになってしまいます。
なぜ曲線になるのか
曲線になる理由として考えられるのが、バランス(スイングウェイト)です。純正セットの多くは、同じ種類のクラブの中でバランスが近い値になるように作られています。
バランスは、グリップエンドから14インチの点を支点にしたときの「ヘッド側の重たさ」を表す値です。C9、D0、D1…と表し、アルファベットと数字が大きいほどヘッドが重く感じます。

クラブを短くするとヘッドが支点に近づくので、バランスは軽くなります。元に戻すにはヘッドを重くしますが、足す重さはクラブの長さで変わります。シーソーと同じで、ヘッドが支点から遠い長いクラブほど、少しの重さで戻せます。
長いクラブほど、足す重さが少なくて済むってことですか?
そう。ドライバーと同じバランスを保つように計算すると、0.5インチあたりの増え方はこうなる。
| 長さ | 総重量 | 0.5インチあたりの増加 |
|---|---|---|
| 45.5インチ(ドライバー) | 310g | - |
| 43インチ(3番ウッド) | 327g | 約3.4g |
| 40インチ(ユーティリティ) | 352g | 約4.2g |
| 37インチ(7番アイアン) | 383g | 約5.2g |
| 35インチ(サンドウェッジ) | 408g | 約6.3g |
※ 同じシャフトとグリップのまま長さだけ変え、ヘッドの重さでバランスを合わせた場合の概算。実際のアイアンは、番手が短くなってもシャフトがあまり軽くならないものが多いので、増え方はこの表より大きく、7g前後になります
短くなるほど増え方が大きくなるので、重量の並びは直線ではなく、だんだん急になる曲線になります。「0.5インチで7g」は、アイアンの長さで成り立つ傾きを、ドライバーまでそのまま伸ばしたものです。
バランスを揃える設計は長年の慣習で、それが一番打ちやすいと確かめられているわけではありません。ただ、メーカー純正のセットの並びは直線より曲線に近いので、目安にするなら曲線のほうが実物に合います。
メーカー純正セットの重量フロー
実際のメーカー純正セットを、横軸に長さ、縦軸に総重量をとって並べてみます。点線は、そのセットのアイアンの点に合わせて引いた直線です。
背景の帯は、上の「なぜ曲線になるのか」で計算した、バランスを揃えたときの重量の曲線です。シャフトとグリップの重さで3本に分けていて、上から重いスチール・軽量スチール・カーボンの目安です。
PRGR RS + PRGR 02 アイアン
ウッドとユーティリティは Diamana FOR PRGR(S)、アイアンはスペックスチールⅢ Ver.2(S)です。アイアン(青)は7本がほぼ一直線に並び、0.5インチあたり約7.6gずつ重くなっています。フェアウェイウッド(緑)とユーティリティ(橙)はアイアンラインより 15〜30g 下に来て、ドライバーで線より上に戻ります。
ブリヂストン BX2HT
アイアンは軽量スチールの N.S.PRO 850GH neo(S)、ウッドとユーティリティは Diamana BS50(S)です。アイアンのシャフトが軽いぶん、ウッド・ユーティリティとの重さの差が小さく、アイアンラインより下に来る幅は 15〜21g にとどまっています。
8セットを並べると
ほかのセットも含めて、アイアンラインからどれだけ上下しているかをまとめました。
| セット | アイアンのシャフト | フェアウェイウッド | ユーティリティ | ドライバー |
|---|---|---|---|---|
| PRGR RS + PRGR 02 | スペックスチールⅢ Ver.2 | −15〜−24g | −20〜−30g | +19g |
| ブリヂストン BX2HT | N.S.PRO 850GH neo | −15〜−17g | −17〜−21g | +2g |
| ゼクシオ 14+ | N.S.PRO 950GH neo DST | −26〜−31g | −34〜−42g | −8g |
| キャロウェイ ELYTE | N.S.PRO 950GH neo | −20g | −32g | −2g |
| テーラーメイド Qi35 | N.S.PRO 910GH | −23g | −16g | −9g |
| テーラーメイド Qi4D | N.S.PRO 910GH | −31g | −30g | −20g |
| ヤマハ RMX DD-1 | N.S.PRO MODUS3 TOUR 105 | −11〜−19g | −19〜−27g | +4g |
| ヤマハ RMX DD-2 | N.S.PRO 950GH neo | −15〜−22g | −30〜−38g | +5g |
※ 各社の公式スペック(S フレックス)から計算。テーラーメイド・キャロウェイ・ブリヂストン・ゼクシオは代表番手の重量しか公表していないため、その番手だけで計算しています。
どのセットも、フェアウェイウッドとユーティリティはアイアンラインより下に来ています。ドライバーは長さがあるぶん線のほうへ戻り、ほとんどのセットで線から ±10g 以内に来ます(範囲は −20〜+19g)。
メーカーの純正でも、ウッドとユーティリティはアイアンの線より下なんですね。
そう。これが崩れているわけじゃなくて、シャフトの重さが違えば普通にこうなる。この形を知っておくと、自分のバッグのチャートも読みやすい。
自分のバッグで確認する手順
ここからは、my GOLF GEAR の重量フローのチャートを例に読み方を説明します。横軸がクラブの長さ(右ほど長い)、縦軸が総重量です。
- すべてのクラブの総重量と長さ(g・インチ)を登録
- 分析タブ > 重量フローのページを開く
- ウッド・ユーティリティ・アイアン・ウェッジの種類ごとに、点が曲線に沿っているかを見る
同じシャフト・グリップで揃えたクラブは、点が背景の帯の曲線に沿って並びます。種類が変わるところで帯をまたいだり、段差ができたりするのは気にしなくて構いません。
ただしウェッジは、ロフトが大きい番手ほどバランスを重くしてあるのが一般的です。振り幅を加減するアプローチやバンカーで、ヘッドの重さを感じやすくするためなので、曲線に沿っていなくても問題ありません。
要注意なのは、1本だけ曲線から外れている番手
上の図のように1本だけ曲線から下に外れている番手は、ほかの番手より総重量が軽く、バランスが崩れている可能性があります(上に外れていれば重めです)。1本だけシャフトやグリップを替えたときや、同じ種類で別のモデルを混ぜたときに起きやすい形です。
ただ、シャフトやグリップが違っても、そのぶんヘッドの重さで調整されていれば、バランスは揃っていることもあります。曲線から外れた番手は、バランスを測って確かめてください。
総重量はメーカー公称値でも構いませんが、グリップを替えていると数g変わります。
全部の番手をきれいに曲線に乗せないとダメなんですか?
全部を揃える必要はない。外れている番手が1本あるかを見るだけでいい。たいていそこだけ直せば流れる。
外れた番手の直し方
バランスを測って、実際にずれていた場合の直し方です。
- ヘッドに鉛を貼る: バランスが軽い番手は、ヘッドに鉛を貼って戻せる
- グリップで調整する: 総重量の 5〜10g 程度の差ならグリップの重さで埋められる。ただし、グリップを重くするとバランスは軽く、軽くするとバランスは重くなるので、替えたあとにバランスを測り直す
- シャフトを揃える: 1本だけシャフトが違うなら、ほかの番手に合わせてリシャフトする
リシャフトって、高くないですか?
シャフト代と工賃で、中古クラブが1本買えるくらいになることもある。だから先に鉛やグリップで吸収できるかを見る。
実際のデータで見る重量フロー
メーカー純正セットで見た形が、実際に使われているバッグでも同じなのかを、my GOLF GEAR の登録データで分析してみました。
アイアンは「0.5インチで7g」にほぼ乗る
一人ずつアイアンの点に直線を当てはめると、0.5インチ短くなるごとの重量増は中央値で 7.0g でした。77% の人が 6〜8g の範囲に入っています。アイアンに限れば、「0.5インチで7g」は実際のバッグでもそのまま当てはまります。
ウッドとユーティリティは線の下、ウェッジは線の上
それぞれの人のアイアンラインを基準に、ほかのクラブが何g上下にあるかを集計しました。
| 種類 | 本数 | 線からの差(中央値) | 半数が入る範囲 | 線より下の割合 |
|---|---|---|---|---|
| ドライバー | 122 | +5g | −10〜+17g | 42% |
| フェアウェイウッド | 153 | −15g | −28〜−4g | 80% |
| ユーティリティ | 199 | −17g | −29〜−7g | 87% |
| ウェッジ | 295 | +10g | +2〜+23g | 15% |
※ 「半数が入る範囲」は、差を小さい順に並べたときの 25%〜75% の位置
- フェアウェイウッドとユーティリティは、8割以上が線より下。中央値は −15g と −17g で、メーカー純正セットと同じ向きです
- ドライバーは線の近くに戻る。線より上が 58%、下が 42% で、67% が線から ±20g 以内に入っています
- ウェッジは 85% が線より上。アイアンの並びをそのまま延ばした重さより、中央値で 10g 重くなっています
メーカー純正セットで見た「アイアンラインの下にふくらみ、ドライバーで線に戻る」形は、実際のバッグでも多数派でした。
アイアンのシャフトが重い人ほど、ドライバーは線の下に来る
アイアンのシャフト重量を登録している人を、その重さで分けました。数値は線からの差の中央値です。
| アイアンのシャフト重量 | 割合 | ドライバー | フェアウェイウッド | ユーティリティ |
|---|---|---|---|---|
| 〜99g | 54% | +11g | −11g | −17g |
| 100〜114g | 32% | +5g | −21g | −21g |
| 115g〜 | 14% | −11g | −14g | −19g |
ドライバーは、アイアンのシャフトが重くなるにつれて +11g → +5g → −11g と下がっていきます。アイアンラインはアイアンの重さで上下するので、重いスチールを入れている人ほど、ドライバーが相対的に軽く見えます。ユーティリティは、どの区分でも −17〜−21g でほとんど変わりませんでした。
ドライバーが線より下にあったら、軽すぎるんでしょうか?
それだけでは言えない。アイアンのシャフトが重ければ、ドライバーは線の下に来るのが普通。ドライバーの線からの距離は、アイアンのシャフトの重さでも変わるから、線の下にあるだけで軽すぎとは決められないんだ。
